2012年12月4日火曜日

謎の皮膚病は続く? return of vietnam mysterious skin disease

今年の4-7月にかけて騒がれた”謎の皮膚病 ”ですが、最近ニュースに上がらないと思っていたら、まだ完全に終息したわけではないようです。

THANH NIEN NEWS

ちなみに謎の皮膚病はInflammatory Palmoplantar Hyperkeratosis Syndrome (IPPH)と名付けられています。が今回の記事には使われていません。
日本語に訳すと、炎症性掌蹠過角化症候群 というところでしょうか。

(記事によると)
今回も場所はQuang Ngai省のBa to地区です。
昨年の7月以来患者がでていなかったのですが、先月に4歳の子供が発症。手足の水疱、肝機能の異常でクアンガイ総合病院に入院しました。その後病状が悪化しホーチミン市の第2こども病院へ搬送され、入院したのですが、肝不全、多臓器不全で亡くなりました。


この病気の原因は未だに判明していません。以前WHOや長崎大学などが調査を行いましたが、それでも原因がわかっていません。

5月に亡くなった9歳の子の髪の毛からは通常の100倍のヒ素が検出されており、それが原因ではないかとも言われています。



今後の再度流行がないか注意が必要です。 

2012年11月21日水曜日

生食肉のサルモネラ菌汚染率は32% In ホーチミン


ホーチミンの食肉の衛生検査の結果がニュースに出ていました。

VIet Jo〉より  〈Dan Tri〉(ベトナム語)
ホーチミン市パスツール研究所が実施した食肉衛生検査で、市内の市場で販売されている食肉の32.26%がサルモネラ菌に汚染されていたことが分かった。サルモネラ菌は人に経口感染し、腸チフスや食中毒を引き起こす。14日付ジエンダンゾアンギエップが報じた。
 この検査は、生の牛肉・豚肉・鶏肉のサンプル計1150検体に対して行われた。その結果、サルモネラ菌の汚染率は豚肉の39.20%が最も高く、鶏肉は35.17%、牛肉は30.80%だった。


この記事だけをみると、30%もサルモネラ菌がいるの!!と驚く人も多いかと思います。


じゃあ日本はどうなんだろう。と調べてみると

少し古いですが、2004年から2007年の3年間の全国平均では,
牛肉の0.5~0.8%
豚肉の2.4~4.6%
鶏肉の20.0~34.2%
にサルモネラ菌の感染が確認されています。(東京都福祉保健局の資料

日本でも鳥肉の場合は結構サルモネラ菌が検出されています。これを見ると鳥だけであればそう変わらないと分かります。

その他の国ではどうでしょうか。
中国、コロンビア、ロシア、ベトナムを比較した2012年の論文では。
  • China      52.2%  (n=1,152)  
  • Colombia  26.7%  (n=1,003)
  • Russia    31.5%  (n=698)
  • Vietnam     45.9%  (n=1,000)

この論文ではベトナムは45.9%とホーチミン単独の調査より多いですが、中国よりも少ないことがわかります。

他にもあり。(WATT Ag net)
  • 60 percent in Portugal (n = 60)
  • 57 percent  in Thailand (n = 72)
  • 36 percent  in Belgium  (n = 772)
  • 35.8 percent  in Spain  (n = 198)
  • 4 percent  in the United Kingdom (n= 877)
  • 3 percent  in New Zealand (n = 232)
  • 4.2 percent  in the United States (n = 212)
  • Zero  in Sweden  (n = 40)


と意外とヨーロッパの国々でもサルモネラ汚染が多いことがわかります。ポルトガル60%はベトナムより多い。

ただこの検査は肉のどの部位を検査するか、どの形状の肉を検査するかが感染の確立の大きさにも関わってきます。(日本ではミンチ肉でサルモネラ感染が多かったようです) 

ホーチミンの32%という値も世界的にみてとても高いわけではないようです。ですが、肉はきちんと火の通ったものを食べるようにしましょう。



クリニックで診療をしていても、急性胃腸炎の患者さんでこれはサルモネラだ。という患者さんが特に多い印象はありません。

2012年10月25日木曜日

北部山岳部で狂犬病増加。Rabies in northan mountainous area

Tuoitren newsより

ベトナム北部の山岳地域で狂犬病が流行っているようです。
ベトナム北部の山岳地域で今年になって74人が狂犬病で死亡しています。ベトナム公衆衛生伝染病研究所によると、過去5年間でベトナムの狂犬病患者の数は減っていましたが、今年になって急増しているようです。

都市部で多く見られているとの話はないので、多くの日本人や駐在できている方には問題になりませんが、山岳地方に出かける予定がある方は狂犬病ワクチンを打った方がいいかもしれません。(3回の注射で1か月はかかります。)

普段から犬には気を付けましょう。



2012年9月5日水曜日

脳喰いアメーバ、ベトナム初のケース  Brain-eating ameba in VN

ベトナム初の脳喰いアメーバの報告がありました。
Viet Jo),( Info VN 英語)

25歳のPhu Yen省出身の男性で、入院の1-2週間前に友人と池で魚を捕まえていたようです。その後発熱、頭痛でGia Dinh病院に入院し、髄膜炎と診断されました。 意識状態、呼吸状態が悪化し熱帯病病院に転送され、そこでこのアメーバと診断。3日後に亡くなったようです。


フォーラーネグレリア (Naegleria fowleri
これが脳を溶かす寄生虫の名前です。 アメーバといってもよくベトナムで下痢の原因となるアメーバ(赤痢アメーバ)学名:Entemoeba historitica とはまったく別の種類です。


ちなみにこのフォーラーネグレリアはベトナムで発見されたのは初めてですが、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアなどで発見されています。その感染は非常にまれで3億人以上の人口のアメリカで50年間(1962-2011年)に123人の感染が認められています(CDC)。(年に2,4人/3億人の換算です。)
ちなみに日本でも1996年に佐賀県で初めてのケースが報告されています。(リンク


このアメーバは水中に暮らしており、アメーバが水とともに鼻の中に入ると、鼻の中から神経系に進入し、脳の中まで入り込み脳に傷害を起こします。水を飲んだだけでは罹りません。 ヨガをやっている一部の方が行っている鼻の洗浄にNeti potという水で鼻(副鼻腔)のなかを洗う療法がありますが、アメリカではこれでフォーラーネグレリアに感染した人もいるようです。(Time  Web MD
フォーラーネグレリアは温水を好むので日本では温泉などで感染する可能性もあるようです。

一旦かかってしまうと、治療法も確立しておらず、非常に予後が悪い病気で、生存率はわずか3%です。



ベトナムでも初のケースで(過去にただ見つかってないだけかもしれませんが)。特に日本人のベトナム滞在者が 気をつける必要はないと思いますが、むやみに池や川などでは遊ばないほうがいいかもしれません。



2012年9月4日火曜日

ベトナムA型肝炎 Hepatitis A in vietnam


以前B型肝炎のことを書きましたが、A型肝炎には触れていなかったので今回書いてみようと思います。

A型肝炎はA型肝炎ウイルスを経口的に摂取することによって感染します。つまりB型、C型肝炎と違って、飲み水や食べ物によって感染するということです。汚染された水、牡蠣などの貝類の生食で感染します。感染した人からはウイルスが便中に排泄されるので、下水管理が不備のある地域なのではとくに多く見られ、時に流行がみられます。

以下は アメリカCDCに発表している地図ですが、アジアやアフリカ、中南米などに多いことが良くわかります。ベトナムはこの地図によればLowになりますが、水の安全性、下水などの状況から考えると決して安全な国とは言いがたいです。



ただ幸いなことに、このA型肝炎はB型、C型肝炎のように慢性肝炎(ずっとウイルスが活発なままの肝炎)にはなりません。 急性肝炎といって、一時的に全身に黄疸(目や皮膚が黄色くなる)を伴う数日間続く高熱、腹痛などが現れます。  時には無症状の人もいます。  しかし逆にまれにですが(全体の0.1%に)劇症肝炎といって非常に激しい肝炎を起こすこともあります。その場合には症状も強く、数週間と長引き、死亡率は70-90%にもなるといわれています。


A型肝炎には予防接種があります。 

予防はやはり予防接種です。A型肝炎単独でも予防摂取はありますが、当院ではA型、B型肝炎の混合のワクチンをおすすめしています。

ワクチンは子供でも接種できます。

日本のA型肝炎ワクチンは薬として承認された当時のまま使用法が改定されておらず、16歳未満の小児は接種できないということになっています。しかしながら小児に対する臨床試験は1995年に行われており、有効性と安全性はは証明されています。 そして日本でのA型肝炎を小児へも進める動きとして、今年の6月に日本小児科学会、日本産婦人科学会、日本渡航医学会、日本感染症学会などが連名で厚生労働省にA型肝炎の接種の小児への適応拡大を文書で申請しています。(リンク) 

「日本ではA型肝炎は打ってもらえなかった」。といって当院へ受診されてくる方もいますが、日本でもトラベルクリニックなどの医療機関では、ご家族の承認のもとA型肝炎の予防接種を打ってくれるところもあります。 例えば 東京医科大学、などがありますが、他にもご両親と相談のうえ、という記載のところは多く認めます。

調べていて気づいたことですが、8月現在の時点で、日本国内の多くの医療機関でA型肝炎のワクチンの供給が滞っており、入手が難しくなっているようです。 













2012年7月17日火曜日

カンボジア謎の病気 エンテロウイルスで決着

カンボジアの謎の病気としてニュースを騒がせましたが、WHOは今回の一連の病気を手足口病を起こすウイルスであるエンテロウイルス71によるものと結論付けました。
CIDRAP
 (7/12)
CNN
(7/11)

カンボジアのPasture研究所、アメリカのCDCなどが協力して調査が進められ、78名の患者を確認したようです。
31名の患者の血液を調べたところほとんどの患者からエンテロウイルス71が検出されました。また少数ではありますがHIB(インフルエンザ菌)、豚レンサ球菌なども検出されたようです。
多くの患者は3歳以下で、もともと慢性の病気を持っていたり、栄養失調があった子供もいたようです。
どこか一つの地域で集中的に発生しているわけでもなく14の州から患者は来ています。

また多くの子供たちが治療の過程でステロイドを投与されていたことも分かっています。これが病状の進行と関係しているかも、というコメントも見られます。

ステロイドは免疫抑制剤です。免疫を下げる薬なので
普通の感染症ではまず使いません。ですが炎症を抑える働きも強いので、時に重症の感染症で短期間使われることがあります。今回どのような経緯でステロイドが子供たちに使われることになったのかはわかりませんが、安易な投与があったのかもしれません。



日本では病院の処方箋がないともらえないステロイドですが、
ベトナムでは(おそらくカンボジアでも)薬局に行って『風邪引いた、のどが腫れていたい』というとステロイドが処方されてくるケースがたびたびあります。知らない薬を薬局で買って飲むのはできるだけさけたほうが賢明でしょう。




JUGEMブログでも公開しています。

2012年7月9日月曜日

カンボジアでも謎の病気、謎の皮膚病はIPPHに。

ベトナムの謎の皮膚病はまだ原因がはっきりしないようですが、新しい患者は出ていないようで、やや落ち着いています。  リンク(Vietnam news)

ちなみに”謎の皮膚病 ”とされていましたが症状から名前がついたようです。
Inflammatory Palmoplantar Hyperkeratosis Syndrome (IPPH)
日本語に訳すと、炎症性掌蹠過角化症候群 というところでしょうか。非常にわかりにくい名前ですが、手足の皮膚が角化(厚くなる)というのが特徴のようです。




一方隣国カンボジアでも謎の病気で過去3カ月で60人以上の子供が亡くなっています。(大人の感染者はいないようです)
急速に進行する呼吸器症状、 神経症状が特徴のようです。


リンク NHK, ウォールストリートジャーナル(日本語)


最新の報道(7月8日まで)によると
原因としては手足口病などの原因にもなるエンテロウイルス71というウイルスが原因である可能性が一番高いようです。カンボジアのPasteur研究所で6月中旬から症状が見られた24名の患者中15名でこのエンテロウイルスの感染が確認されています。ただまだこのウイルスが原因と確定したわけではありません。

リンク(Khumer newsGlobalpost)



余談ですが、ベトナムでGoogleのブログへの接続がブロックされている印象です。今後この状況が続くなら他のブログへ移行するかもしれません。

2012年6月13日水曜日

クレジットカード保険のワナ (海外旅行保険のすすめ)

今回は海外旅行保険の話です。


会社の出向で、保険は会社持ちです。という方にはあまり必要がないかもしれませんが、海外旅行保険は海外で暮らす方には必須のものです。
特にベトナムという医療水準がまだ低い国においてはなおさらです。

普通に入る海外旅行保険は決して安くはありません。安いものでも年間で  10万円前後します。 しかし大病を患えば10万円どころではすみません。国外に緊急搬送ということになればもっと費用がかさみます。保険代を払うのをためらったためにもっと大きな支払を強いられた方を多く見ているだけに、保険については必ず入ってねと常々言ってまわっています。
  

この保険料を安くできる裏技にクレジットカード付帯の海外旅行保険があります。 その特定のクレジットカードを持っていれば海外旅行に自動加入されるというものです。ただこれには大きな落とし穴がいくつかあります。いくつか紹介します。

  • 90(60)日間しかカバーされない

  •  飛行機のチケットをカードで買っていないとカバーされない

  • 病気やケガはカバーされないカードがある。ANA, JALカード。
 などです。
 詳しく書いていくと。
  •  旅行に出発してから90日間(もしくはカードの種類:シティカード などによっては60日間)の間しか保険にカバーされません。定期的に日本と海外を行ったり来たりしている人にはいいかもしれませんが、長期に滞在される人には使えません。また普通に加入する海外保険と違って延長措置ができないので、滞在が予想より伸びてしまった場合は自動的に無保険状態になってしまいます。

  •  クレジットカードの海外旅行の種類には自動付帯利用付帯というのがあります。自動付帯はクレジットカードを持っていれば海外旅行に出かけた時点で自動的に保険に加入したことになるものです。利用付帯とは旅行中の交通機関の支払いをクレジットカードで行った場合に海外旅行保険の適応になるものです。つまりなんでもいいので、旅行に行く、もしくは旅行中の電車、飛行機、バスなどのチケットをクレジットカードで支払っていれば、その旅行期間の海外旅行保険が加入されたことになるというものです。ですから。自分の持っているクレジットカードが自動付帯か利用付帯かを知らないと大変なことになります。
  •  これも結構見逃されるのですが、ANA、JALの普通カードは(ANAのワイドカード、JALのClub-Aやゴールドカードは違いますが)傷害疾病治療費用、携行品損害費用が補償内容に入っていません。あるのは死亡、後遺症の補償だけです。つまりり一般の人が一番使う可能性の高い、病院の受診、けがの治療、緊急移送の費用が保険でカバーされていないということです。    個人的には、他の多くのカード会社が似たような表記できちんと疾病治療をカバーしているなかで、この2社が海外旅行最高補償額1000万円とうたっているのは正直にあまり好感を持てません。実際にこのことを知らずに困った人を何人か見ています。そんな事であれば最初から海外旅行保険はカバーしませんと明記している方が親切だとすら 感じてしまいます。

このページにも詳しく記載されています。(リンク




やはり長期駐在、滞在されている方には少し高くとも、通常の海外旅行保険に加入しておくことをお勧めします。


2012年5月15日火曜日

謎の皮膚病(続報)感染症ではない。。

前回リケッチアの感染だとわかったと発表がありましたが、どうやらリケッチアが原因ではないようです。

 14日に公式な発表があり、WHOのベトナム代表、アメリカCDCの代表も同席しての会見だったようで、今までで一番信憑性の高い発表です。

vietnamnet(リンク)  Vietnam news(リンク
べトナム保健省のページ(ベトナム語)  

この会見によると、
長崎大学が患者の血液を検査行い、240種類のウイルスや細菌のDNAと照合した(詳細は不明)ところ、ウイルスや細菌の感染は確認できなかったようです。(リケッチアも出てこなかったということだと思います。)
また200種類以上のダニやノミなどの昆虫を捕まえて、細菌やウイルスなどの検査を行いましたが、こちらでも明らかな感染源となるものは見つからなかったようです。
この結果からすると今回の原因は感染症ではなさそうです。



そうすると原因は? となりますが。

以前から噂はされている環境汚染ではと考えられますが、
今回の発表では、 土や水に含まれている重金属(銅、亜鉛、鉛、カドミウムなど)の濃度も調べた結果危険な濃度ではない。患者の皮膚や髪からもそれらの重金属は検出されなかったそうです。殺虫剤も調べて大丈夫との結果です。

ちなみになぜかBBCの記事では
Poisoned soil suspected cause of Vietnam illnessリンク
原因は土壌汚染が疑われる。がタイトルになっています。
記事中でもヒ素、鉛、亜鉛、カドミウムなどが土壌から検出された。と書いてあります。同じ会見に基づく報道だと思うのですが、どちらが正しいのかは分りません。


今回原因の候補として挙がってきたのが、カビ です。
アフラトキシンというカビが作り出す毒が、精米していない米から多く検出されたようです。精米していないコメ(玄米)は精米してあるコメ(白米)の5倍多くアフラトキシンを含み、このBa to地区で玄米を多く食べるのが原因ではないかと考えられているようです。


結論としては。
最終的には今回の皮膚病の原因はまだはっきりしていません。
ただ人から人へ感染するものではないことはかなり濃厚なようです。


2012年4月25日水曜日

謎の皮膚病判明 リケッチア Rikettsia in VN

ベトナム中部で、謎の皮膚病の話題がありましたが、原因が判明してきたようです。
その原因はリケッチアという細菌です。
(5/14に会見がありまた話が変わっています) コチラ

Saigon Giai Phong の英訳
http://crofsblogs.typepad.com/h5n1/2012/04/vietnam-rickettsia-virus-identified-as-cause-of-bizarre-skin-disease.html

この英訳ではリケッチアはウイルスということになっていますが。細菌です。ですから抗生物質による治療が可能です。

リケッチアはある一つの細菌の名前ではなく、細菌の種類です。
比較的有名なものでは (左は菌の名前、右は病名) 以下があります。
Rickettsia prowazekii -----発疹チフス
Rickettsia. typhi--------- 発疹熱
Rickettsia rickettsii-------ロッキー山紅斑熱
Rickettsia japonica-------日本紅斑熱

以前は日本で多くみられるツツガムシ病もリケッチアの仲間で起こるとされていましたが、今は別の種類ということになっています。

発疹チフスはノミ、ロッキー山紅斑熱、日本紅斑熱はダニにかまれること、発疹熱はネズミの糞を介して 感染します。人から人への感染はありません。

今回リケッチアであることは判明しましたが、まだどの菌であるか、新種の菌なのか、どういう経路で感染が広がっているかは判明していません。

続報を待ちましょう。

2012年4月24日火曜日

謎の皮膚病 中部ベトナム Mysterious skin disease

原因のまだはっきりしない皮膚病がベトナム中部ではやっているようです。

判明しました。(4/25)
リンク
さらに追加報告(5/14) 
リンク) 

一応決着 (2013年3月)
リンク) 

Vietnam news, Reuterなどによると昨年の4月から10月の間に流行が見られていた皮膚病が今年の3月から再び見られており、死者も出ているようです。
VN news
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/social-issues/223677/fatal-disease-baffles-doctors.html
Reuter
http://www.reuters.com/article/2012/04/21/us-vietnam-health-disease-idUSBRE83K04D20120421
CIDRAP
http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/fs/food-disease/news/apr2012newsscanbr.html

場所はQuang Ngai省のBa to地区と限られた地域で出ているようです。他の地域では見られていないようです。

170人以上が感染し、昨年からは19名が死亡(今年だけでは8名) とあります。

症状は報道によって異なるのではっきりしませんが、手足に発疹が出て、高熱が見られるようです。(CIDRAP)
Vietnam newsでは手足の指の間の腫れやかゆみがまずあらわれて、4-7日後に皮膚が厚くなったり、ひび割れるようになったりするとあります(潰瘍を作るという意味かもしれません)。重症の場合は多臓器不全、肝障害、消化管出血など合併症がみられます。

原因はまだ不明です。(感染症なのか、環境、水や、何かの化学薬品なのか等々)
ベトナムもWHOやアメリカCDCに原因の解明の協力を依頼していくようですが、WHOからの公式見解はまだありません。


はっきりと感染症(人から人にうつる病気)と分かったわけではないようですし、狭い範囲での流行なので。あわてることはないとは思いますが、今後注意が必要です。


Quang Ngai省

2012年2月18日土曜日

ベトナム発の鳥インフルエンザワクチン Avian flu vaccine

ベトナムが世界に先駆け鳥インフルエンザのワクチンを製造する(かも)と発表しました。

2月17日のVNNニュースより
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/in-bai/220893/nation-develops-vaccine-to-minimise-risks-of-bird-flu.html

CIDRAP

http://www.cidrap.umn.edu/cidrap/content/influenza/avianflu/news/feb1612fluscan.html


ベトナムの公衆衛生局の Nguyen Tran Hien局長が来年2013年にも鳥インフルエンザのワクチンの製造を開始すると発表しました。
今年の後半から実際に効果を試す試験を経て、結果が良ければ来年から製造するとのことです。鳥インフルエンザのワクチン自体は今までもいろんな国で開発されていますが、実際に使用に向けて生産はされていません。のでもしベトナムがこれを始めれば世界に先駆けることになりそうです。もちろん予定通りにいけば。の話ですね。ホーチミンの地下鉄計画はいつになったら始まるのでしょうか。。。。

なぜベトナムで始めるか?それは2007年から2010年にかけ毎年5-7名の鳥インフルエンザが出ているから。とのことのようです。





ポーランドでホームレスの人をワクチンの実験台につかったという話。
ベトナムではこうならないといいです。
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/poland/2235676/Homeless-people-die-after-bird-flu-vaccine-trial-in-Poland.html

2012年2月9日木曜日

髄膜炎菌性髄膜炎の流行  Meningococcal meningitis

テト(旧正月)の前後から話がありましたが、ベトナムで髄膜炎菌性髄膜炎の流行が見られているようです。
報道によると、ホーチミン、ハノイ、ロンアン省、ビンフック省、クアンチー省で流行が見られています

tuoitrenews
http://tuoitrenews.vn/cmlink/tuoitrenews/society/meningococcal-meningitis-spreads-in-five-vietnam-localities-1.59750

http://www.examiner.com/infectious-disease-in-national/vietnam-30-people-test-positive-for-meningitis-hcmc



髄膜炎菌性髄膜炎(Meninngococcal meningitis)




髄膜炎はさまざまな菌やウイルスが脳や脊髄を覆っている髄膜という膜に感染することによって起こる病気です。特徴的な症状は高熱、頭痛に伴って項部硬直といって首が曲げられなくなります。
 
髄膜炎菌性髄膜炎は髄膜炎が髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)という名前の菌によって起きたものをいいます。この髄膜炎菌はときに流行をおこすことがあることから流行性髄膜炎ともいわれます。

症状経過
 髄膜炎の症状としては上記のように、高熱、頭痛、項部硬直に加えて嘔吐やけいれんをおこすことがあります。また敗血症といって血液を介して全身に菌がまわってしまうと、全身の臓器にダメージを与えたり、全身の皮下で出血を起こしたりします。
 経過は通常急激で、できるだけ早く抗生剤で治療することが必要です。治療を施しても致死率は10-15%といわれています。



tuoitrenewsより転載
敗血症で皮下出血を起こしている患者さんの様子です


感染、予防
髄膜炎菌は飛沫感染します。(咳やくしゃみなどで散った飛沫を吸い込むことで感染します)ですからマスクの着用は有効です。
潜伏期は2-10日、平均で4日程度です。
予防には髄膜炎菌ワクチンがあります。髄膜炎菌にはいくつかの亜種があり現在ベトナムの流行でで確認されているのはA,B.CとYタイプのです。当院では髄膜炎菌のAとCタイプに対するワクチンを扱っています。

当院での髄膜炎患者さんはまだ見られていませんが、注意が必要です。
お子さんは特にワクチンの接種をおすすめします。





もっと詳細が知りたい方は下記参照してください。

国立感染症研究所ホームページ
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k05/k05_20/k05_20.html
横浜市衛星研究所ホームページ
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/mening1.html



2012年2月3日金曜日

鳥インフルエンザ注意喚起



領事館より鳥インフルエンザに対する注意喚起のメールがありました。 
(以下転載)

1 ベトナム保健省によれば,1月18日にカントー市在住の男性が死亡し,検査の結果,鳥インフルエンザ(A/H5N1)に罹患していたことが確認されました。続いて,1月28日にソクチャン省在住の女性が死亡した事例も,鳥インフルエンザに罹患していたことを確認した旨公表しています。

2 今年に入り,すでに鳥インフルエンザによる死亡が2例となり,何れもベトナム南部地域で発生していることから,今後,同地域において,増える可能性があります。
 つきましては,以下の一般的な予防策を実行するとともに,特にベトナム南部の地方へ行かれる方は,細心の注意を払ってください。

(1)生きた鳥(特に鶏,アヒル,鴨などの家禽類)への接触を避ける。
(2)家禽類の生肉,生卵は食べない。調理の際は十分な加熱を行い,卵や調理器具類は十分に洗浄する。
(3)手洗い,うがいを励行する。
(4)必要に応じマスクを着用する。
(5)規則正しい健康的な生活を送る。
(6)インフルエンザを疑う症状があれば,早めに医師の診断を受ける。
 (7)医師と相談の上,インフルエンザワクチンを接種する。



新型インフルエンザの影に隠れてあまり話題に上がらなかった鳥インフルエンザですが、注意をするに越したことはありません。
特に生きた鳥にむやみに接触するのはやめましょう。街中でも結構ニワトリなどが歩道で飼われていますが、近づかないように。(こんなふうに)


ちなみにインフルエンザワクチンを接種する。と(7)にありますが、通常の季節性のインフルエンザのワクチンは鳥インフルエンザには効果がありません。しかし鳥インフルエンザのはやっている時期に季節性のインフルエンザにかかった場合パニックになりかねないので、季節性のインフルエンザワクチンも打っておいたほうがいいということでしょう。 

国立感染症研究所のホームページによると1月18日に死亡した男性はアヒルに接触があったようです。
 http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/