2011年1月19日水曜日

ベトナムでのB型肝炎予防 Hepatitis B in Vietnam

もう2011年になってしまいました。
細々ですが、情報をアップしていこうと思います。


B型肝炎はとくにベトナム特有の病気ではありませんが、ベトナムで多い病気です。
一般に肝炎はA,B,C型肝炎と見つけられた順に名前がついていますが、その特徴は大きく異なります。ちなみに非常に稀ですが、DからH型肝炎まであるようです。

B型肝炎は感染力が強く、また慢性化することがあるので注意が必要な病気です。


感染経路

B型肝炎はB型肝炎ウイルスを持っている人から血液、体液(唾液、精液)を介して感染します。
輸血などでも感染しますが、性交渉、セックスでもうつります
食器の共有などで感染することもあるといわれています。実際に輸血も疑わしい性交渉もしていないのに急性のB型肝炎にかかってくる患者さんはいます。
もうひとつ多いのは母子感染です。B型肝炎を持っている母親から生まれる子供はかなりの確立でB型肝炎に感染します。


日本でB型肝炎ウイルスに感染している人は全人口の1-2%と言われています。
ところがベトナムではその数が10%以上といわれています。日本の10倍です。
実際にベトナム人の健康診断をしていると頻繁にB型肝炎のキャリアの患者さんに会います。
昨年当院の健康診断をうけたベトナム人2025人を調査してみると164名のB型肝炎のHBs抗原陽性(B型肝炎に感染している)人がいました。その割合は8%になります。当院で健診をうける人の多くは外資系企業に勤める人々でベトナム人でも裕福な層に入ると思うのですが、それでも8%というのは高い値です。

これだけ感染している人が周りいると当然何かの拍子に感染してしまうチャンスも増えます。


慢性B型肝炎


B型肝炎の問題は慢性化することです。慢性肝炎とは肝炎(肝臓がダメージを受けている状態)が持続することです。
B型肝炎に大人が新たに感染するとまず急性肝炎になります。発熱に加えて黄疸(白目が黄色くなったり、全身が黄色くなったり)、腹痛などが出ます。この時期も入院が必要ですが、多くは徐々に改善してきます。しかし急性B型肝炎にかかった人の約10%が肝炎が治りきらない慢性肝炎の状態になってしまいます。
血液検査をすると肝酵素であるGOT、GPTが常に高い値を示します。
慢性肝炎が続くと将来、肝硬変肝臓癌になります。

簡単に言ってしまえば、B型肝炎ウイルスにかかることは将来肝臓癌になるかもしれないということと同じ意味になります。

B型肝炎の治療はありますが、長期に渡って薬を飲み続けなければいけなかったり、飲み続けてもウイルスがなかなか消えなかったりと簡単な治療ではありません。


やはり予防が一番です。B型肝炎にはワクチンがあります
日本ではA型、B型肝炎のワクチンはそれぞれ注射しなければいけませんが、海外ではA,B型肝炎の混合ワクチンが主流です。
値段もそれぞれ打つよりも安く、副作用もそれぞれ打つ場合と変わりません。

当院でもこのA,B型混合ワクチン(Twinlix)をお勧めしています。


ちなみに摂取のスケジュールは初回、1ヶ月後、6ヶ月後の3回です。