2013年10月3日木曜日

流行性結膜炎の大流行 In ベトナム。 Pinkeye epidemic in Vietnam


今年の9月に入ってから猛烈な勢いで流行性結膜炎がベトナム国内で流行っています。

結膜炎ですが、正確には流行性角結膜炎 、はやり目ともいいます。
英語ではPinkeyeとかRedeye、正式にはconjunctivitis(epidemic keratoconjuctivitis)、ベトナム語ではbệnh đau mắt もしくはviêm kết mạc と言います。 viêmは炎症、kết mạcは結膜なので語源は一緒ですね。


この結膜炎の流行ですが実は毎年ベトナムであります。 新聞記事を見ていると、ベトナム南部もしくは北部で結膜炎が流行という記事を見かけるのですが、実際に患者さんとして見ることはそれほど多くありません。

しかし、今年は日本人、欧米人を問わず本当に大流行しています。 日本人学校、日系幼稚園、インターナショナルスクール等、ほぼすべてのところで見られています。






 その理由は今回の結膜炎の原因のウイルスが感染力が強いためだと思われます。症状もかなり強いです。日本ではこの原因となるアデノウイルスを検出する簡易のテストがあるのですが、こちらでは使用できないので確認できませんが、症状からはアデノウイルスによるものと考えられます。

症状
 流行性角結膜炎の症状としてはまず急に目やにが増えるようになります(↑右の写真)
その後眼球結膜(黒目の周りの白いところ)だけではなく、眼瞼結膜(まぶたの裏側の部分)がかなり赤くなり腫れます。(↑の左の写真のように) 、 酷い場合は瞼そのものも赤くなって腫れあがります。片目から始まることが多いですが、両目に広がることも多いです。
また眼だけではなく、風邪症状を一緒に伴ったり、耳周囲のリンパ節が腫れたりもします。

感染経路
感染は接触感染ですが、(一緒にいるだけではうつりません:空気感染はしません) 
患者の眼→患者の手→患者が触った物→他の人の手→他の人の眼 と広がっていきます。
共用のタオルや手ぬぐいなどは格好の感染源となります。 

ですので予防は、目を触らない、感染してる人はいろんなものに触らない、こまめな手洗いは必須です。
基本感染したひとは人が多く集まる場所へ行かない 。

治療法
ウイルスを殺す薬はないので 、基本的には対症療法になります。またウイルス性の結膜炎に引き続いて2次性の細菌感染を起こすことも多いため、抗菌薬の点眼を使用します。
また炎症を抑える点眼薬や、症状の強い場合にはステロイドの点眼を使用したりもします。

流行性角結膜炎は症状の強い人では1週間以上続きますし、視力に影響を及ぼすこともあります。その際はきちんと眼科で見てもらうことが必要です。



ちなみに今回私も初めて結膜炎をもらってしまいました。
患者さんからではなく、 娘が学校でもらって来て、そこから家族全員に広まるのはあっという間でした。


 








 

2013年8月27日火曜日

ベトナムの割りばし事件




Than nien newsリンク)より

8月2日のThan nien ニュースの記事によると。

ホーチミンに住む19歳の男性が飲みに出かけて、そこで友人と喧嘩になり友人にプラスチックの箸で目を突かれたようです。

翌日近所の病院で目がはれていたため処置をされましたが、そのまま退院となったようです。
その後目の痛みと頭痛が続くために3日後にChoray病院を受診し、レントゲンで箸が目の奥に刺さっているのが発見されました。
以下がその際にとったMRIみたいです。(こういう写真が新聞に載ってしまうところがベトナムってすごいなあ。)


                                確かに目の後ろに直線状の黒い影が脳まで達しています。

どうやら目の奥の視神経の通る穴を貫通して10cmもある(!?)箸が脳まで達していたようです。
その後記事によると翌週の水曜日(受診の6日後)に手術をしたようです。
(すぐに手術しなかったことに驚き)


この記事を見ると日本で起きた割りばし事件を思い出します。残念ながらその男の子は24時間以内に亡くなってしまいましいましたが、この男性は運よく箸が脳に刺さっても9日間も命には別状がなかったようです。きっと一歩違えば即死でもありうるでしょう。

箸は気を付けなければいけない道具ですね。
特に子供がはしや棒を口にくわえて走るのは注意が必要です。

 



2013年7月9日火曜日

 風疹  帰国前にワクチンを

日本では風疹の大変な流行が続いています。

ベトナムでも時々流行はあるものの(2011年)、ここ最近は見られていません。


と思っていたら、日本からの旅行者の方がベトナムへ来て風疹を発症してしまいました。帰国しようとしたら空港で止められ、空港勤務の医者に発疹が全身に出ているのを確認されて搭乗不可となりました。

風疹は感染力が強い病気なので、飛行機には乗せてもらえません。
麻疹(はしか)、インフルエンザ、なども同様です。

 結局その旅行者の方は熱がひいて発疹がおさまるまで帰国できませんでした。 日本での仕事もあるでしょうに、大変です。


日本に帰国予定の方は。帰国前にワクチンを打つことをお勧めします。
予防の効果が出るまでに2週間ほどかかると言われていますので、帰国の2週間前には打つほうが良いでしょう。


当院ではMMRワクチン(麻疹、風疹、おたふくかぜ混合)を扱っています。
日本では風疹のワクチンの在庫がなくなってきているという話ですので、こちらで打っていくほうが賢明でしょう。  しかも日本で打つより安いです。






2013年5月13日月曜日

ベトナム南部でも鳥インフルエンザ(H5N1)


4月に入ってもう1例 鳥(H5N1)インフルエンザが発生してます。(中国で流行っているH7N9とは別です。)
場所はロンアン省。20歳の女性で、鳥の死骸をふれたりしたようです。
CIDRAP(リンク


中国ではH7N9は今月に入って新たな発症患者数の報告は減ってきているようです。
4月は87例の感染確認。7例の死亡。
5月は9日の時点で、まだ2例確認されているのみです。

WHO(Weekly report 5/9)

このままH7N9が終息していってくれることを願います。


H5N1(今まであった方)も注意が必要です。


2013年4月10日水曜日

新たな鳥インフルエンザウイルス中国と、以前からの鳥インフルエンザ ベトナム。  


中国では今月に入ってから(H7N9)の鳥インフルエンザが見つかっています。

4月9日づけのWHOの報告では(リンク)、新たに3名の感染の報告があり、全体で24名の感染が確認され、7名が死亡しています。

この H7N9ウイルスは今までにも存在したウイルスで鳥類などの間で感染はおきていたものの人手の感染はいままでみられていなかったものです。 そういう意味では新しいウイルスと言えるかもしれません。
今回は 以前2009年に新型(豚:H1N1)インフルエンザが流行ったときとは様子が違うのはこのインフルエンザウイルスが人から人へ感染することが確認されていないということです。ただ今後どんどんと感染例が増えていくようであれば話は変わってくるかもしれません。


基本的には今まであったH5N1鳥インフルエンザと同様の対応でいいのではないかと考えられます。 鳥に近づかない、生肉を食べないなどなど。。。

詳細は日本の国立感染研究所がWHOのQ&Aの日本語訳をだしています。 (こちら


さて、ベトナムではどうか?というと。
まだこのH7N9の報告はありません。

ベトナム側の対策としては中国産の鶏肉の輸入を中止して、国境の検疫では体温の検査を始めたようです。

ベトナムではH7N9ではなく以前からあるH5N1型の鳥インフルエンザが1例判明したようです。感染したのはハノイの農家の4歳の男の子で、明らかに鳥との接触はあったようです。ベトナムでは2012年の1月以来のH5N1の感染による死者です。  これでベトナムの鳥インフルエンザによる死者は2003年から62名になります。  (リンク



いずれにしても鳥には気を付けましょう。


Pho ga(鳥のフォー) フォーは鳥味がベストだとおもっています。








2013年3月24日日曜日

謎の皮膚病 決着。 アフラトキシン Fatal SKIN disease caused by Aflatoxin


なかなか原因のわからない状態が続いていた謎の皮膚病( )に一応の決着がついたようです。  3月19日 Vietnam news (リンク) より

保健省は昨年からQuang Gai省で215人の死者を出している謎の皮膚病について、アフラトキシンによって引き起こされたものと結論付けました。
アフラトキシンは米に生えたカビが作り出す毒です。
この皮膚病を発症した家族が食べていた米を調査した結果。100%の家庭でこのアフラトキシンが安全な量の9倍以上含まれているカビの生えた米を食べていたようです。
アフラトキシンができるのは、コメの保管方法が悪かったり、米を長期間保存していた結果です。 普通に市販されている(カビていない)米には含まれないはずです。
 アフラトキシン(Wikipedia)(食品衛生局リンク) 

過去20日間に11名の症状を発症した患者が確認されており、今後コメの保管方法や場所の指導が急がれるところです。



この指導が効果を示してくれれば、やはりアフラトキシンが原因だったとは言えそうですが、アフラトキシンのことは昨年の5月にも疑いは出ており、なぜ今頃確定なんだろうと思ってしまいます。 まだなんとなくすっきりしないベトナム保健省の発表ではありますが、感染症ではないと考えていいのでしょう。





2013年1月22日火曜日

ファミリーメディカルプラクティス 2区にオープン

2013年になってしまいました。
今年もちょこちょこと情報を提供したいと思います。
今回は病院の開院の紹介です。




ホーチミン市の2区にファミリーメディカルプラクティスの分院が先週(1月15日)オープンしました。 場所はThao Dien streetの BPコンパウンドの向かい側です。 (2年以上前から計画はすすんでいましたが、やっとオープンしたという感じです)
こちらはあくまで分院になります。
本院は今まで通り、ダイアモンドプラザの中にあります。
働いている医師は今までダイアモンドプラザで働いていた欧米人医師が中心となります。(2区には欧米人が多いので)
私自身は今後内視鏡(胃カメラ、大腸内視鏡)をこちらのクリニックで行っていくようになると思いますので、週に2回ほどはこちらに勤務になるかもしれません。日本人スタッフは基本的には2区のクリニックには常駐していません。

ダイアモンドプラザは24時間オープンで緊急対応も行っていますが、2区のクリニックは平日8時半から18時、土曜は9時から14時の開院になります。今後変わっていくかもしれません。


 2区在住の方は便利になるかもしれません。