2010年8月21日土曜日

ポリオ 

日本では診たことがなくて、ベトナムにきて初めて見た病気は結構あります。
デング熱もその病気のひとつですが、先日ベトナム人の健診をやっていて、昔ポリオにかかった。という人を診察しました。まだ30歳そこそこの男性です。
ポリオにかかり片足が麻痺し、左のふくらはぎより下が萎縮していました。麻痺に伴う足首の変形があったようで手術をうけて今は普通に歩ける状態です。

また、4月にベトナムの有名な整形外科病院の見学にいった際にも、ポリオにかかって重度の側弯(背骨が曲がってしまった)になった患者さんの背中をまっすぐにする手術成功例を紹介していました。その患者さんも20才台だったと思います。


ポリオという病気は日本では根絶された病気です。
1961年から予防接種を開始して以降ポリオの報告数は激減し、1980年以降は新たにポリオに罹った人は一人もいません。
(予防接種後の子供からポリオが発症した報告はあります、ワクチン関連麻痺Vaccine associated paralytic poliomyeritisと呼ばれています。)

http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k01_g2/k01_26.html

という事で日本でポリオにかかった人に会うのは非常に稀です。30歳はありえません。
一方ベトナムは戦争が1975年に終結ですから、日本がポリオ発症がなくなった頃にやっと予防接種が開始されたぐらいです。最後のポリオ報告が出たのは1997年です。ですから比較的最近まであったわけで、子供のときかかったという人がまだまだいてもおかしくないのかもしれません。

ポリオは日本、ベトナムをはじめ、太平洋、ヨーロッパの国々では根絶されている病気です。しかしながら、アフリカ、インドなどではいまだに新たに発生しています。
そういう意味で再び蔓延する可能性がある以上は予防接種を続ける必要性があります。

日本ではポリオワクチンは生ワクチンといって(ポリオウイルスの毒性を弱くした:弱毒化)ウイルスが入っているワクチンを使います。経口(飲み込むだけ)のワクチンなので受けさせるほうとしては楽なのですが、このワクチンには問題があります。440万人に1人というとても低い確立ですが、ワクチンを飲んだことによってポリオにかかってしまいます。
この問題を防ぐため、現在多くの先進国では経口生ワクチンを使わずに、ポリオの不活化ワクチンの注射を行っています。注射の回数は増えますが、副作用が少ないのはとても重要なことです。
日本でもいくつかの病院ではこの不活化ワクチンを希望に応じて(自己負担ですが)しているようです。

当院でも欧米のスタンダードにあわせて、不活化ワクチンを使用しています。

忘れずに予防接種を受けるようにしましょう。

2010年8月19日木曜日

デング熱②

デング熱がベトナムで多いのは以前も書きましたが、WHOの統計をみると実はベトナムはここ数年毎年、アジア圏で一番デング熱患者が多い国でした。

ここ数年は
2007年 104000人
2008年   96000人
2009年 105000人
と毎年10万人前後の患者さんがでているようです。
2位のフィリピンが毎年4,5万人ですから倍ですね。

ちなみに昨年1年のデング熱の死者は87人。フィリピンの533人よりは少ないです。医療事情もあるでしょうし、流行っているウイルスのタイプにもよるのかもしれません。

http://www.wpro.who.int/sites/mvp/data/dengue/


日本でもデング熱と診断される患者さんはいますが、全例が輸入例といって外国に旅行にいってデング熱に係り、日本に帰ってきてから症状がでる人です。
それでも年間に100例ぐらいの報告があます。
旅行先で多いのは圧倒的にインドネシア(バリ、ジャカルタ)のようです。
今年はまだベトナムは1例だけのようです。

旅行先として不人気ということでしょうか。

http://www.nih.go.jp/vir1/NVL/dengue.htm

2010年8月17日火曜日

デング熱① 症状

ベトナムではデング熱は非常にメジャーな病気です。

毎年雨季には多くの患者さんがデング熱で来ます。

デング熱はデング熱ウイルスという蚊を媒介するウイルスに感染して起こります。


 デング熱の症状としてはまず熱が出ます。38度から39度の高熱でそれが1週間ときに1週間以上続きます。熱と同時に全身の関節痛、筋肉痛、眼の奥の痛み、光をみると普段よりまぶしく感じるといった症状がでます。インフルエンザも高熱が出ますが、それよりも患者さんははるかに辛そうです。
 そして、やっと熱が少し治まって来たかなというころに全身に点状の発赤がでます。見た目としては全身が酔っぱらったときのように赤くなる感じです。手のひらや足の裏が真っ赤になる人もいますし、痒みを伴うこともしばしばです。

腹痛、吐気、便秘、下痢なども比較的多く見られます。

また熱が下がった治りかけに視力が低下、目がかすむなどの症状も出たりします。(眼科でのチェックが必要です)

この辛いデング熱ですが、特別な治療法はありません。
症状が比較的軽く、食事を摂ったり、水を飲んだりできる場合は自宅で解熱剤を飲みながら安静にしてもらいます。
辛くて、気持ちが悪くて、物を食べたり飲んだりできない場合は入院してもらって点滴で水分を補うことが多いです。


ただ、もちろんデング熱にかかった全員が同じように辛いわけではありません。
なんだか最近だるいな。と思っていた人が全身に皮疹がでて受診してくることもあります。
軽い熱だけですんでしまう人もいます。

重症の場合はデング出血熱といって、ただのデング熱とは分けて別の病気と考えるぐらい重い病気になります。急激に症状が悪化し、血圧が急激に下がるショック状態や、全身の出血が見られたりして、適切な治療を受けないと命にかかわります。初回のデング熱感染で出血熱までなる可能性はかなり稀です。



2010年8月12日木曜日

デング熱シーズン

雨季に入ってくると増える病気がデング熱です。
5-7日続く高熱、全身の関節痛、目の奥の痛みにくわえ、典型例では症状が出て数日後に全身に小さな発赤のような皮疹がでます。
デング熱にかかると本当につらそうなのですが、特別な治療法はなく点滴や解熱剤で対症療法をするしかありません。

今年は6月、7月とデング熱を見かけないな、と思っていたら、今日は2人患者さんがデング熱と判明しました。
2人とも軽症で良かったのですが、下のニュースなどを見るとこれから増えてきそうな予感です。

蚊には気をつけましょう。

http://crofsblogs.typepad.com/h5n1/2010/06/vietnam-dengue-fever-increases-at-alarming-rate.html

http://english.vietnamnet.vn/social/201007/Dengue-fever-and-cholera-outbreak-in-Vietnam-921419/


Family medical practice HCMC

2010年8月11日水曜日

当院紹介①

ホーチミンの病院事情。
現在ホーチミン市には3つのクリニックに日本人のドクターがいます。
ファミリーメディカルプラクティス(当院)、ロータスクリニック、SOSインターナショナルの3ヶ所で、いずれも内科医です。またファミリーメディカルプラクティスとロータスクリニックには日本人の小児科医もいますし、コロンビアアジアクリニックには日本人の看護師さんもいます。

最近ベトナム在留者向けの雑誌にも特集がありましたので参考まで。
http://www.vietnam-sketch.com/special-feature-article/17651.html


当院の特徴としてはクリニックとしては規模が大きいということです。入院の部屋をのぞけば日本の小規模の病院以上の設備をもっていると思います。

24時間体制で必ず院内にはドクターが待機しており救急対応もしています。常勤する医師としても内科医、救急医が9名、小児科医が4名います。他に整形外科専門医、耳鼻科専門医(非常勤)がいます。婦人科専門医もいたのですが、6月で退職となっており後任をさがしている最中です。
検査機器としても、通常の日本の病院でできるような検査は大抵の検査ができます。血液検査をはじめ、細菌の培養検査、レントゲン検査、超音波検査などができます。また7月から64列CTスキャンが導入され、全身のCT検査ができるようになりました。
さらに現在調整中ですが、胃カメラ、大腸カメラの 検査もできるようにしていく予定です。

救急対応では脳梗塞、心筋梗塞などの病気をはじめ、交通事故によるケガや骨折に対応しています。局所麻酔やブロック麻酔でできる手術に関しては当院で可能ですが、全身麻酔が必要な手術は当院で行うことはできません。
全身麻酔の手術が緊急で必要な場合は総合病院に転院する必要があるのですが、その詳細についてはまた後日記載したいと思います。








Family medical Practice Ho chi minh

2010年8月9日月曜日

とりあえず。

ブログをはじめてみました。
ベトナム、ホーチミンで診療をしています。
日本ではほとんど見かけることのない熱帯病についてや、旅行でなりやすい病気について少しずつ情報をUpしていければと思います。

また、ベトナムの医療事情についても触れていければと思います。