2014年9月2日火曜日

デング熱 2014 In Vietnam



デング熱が日本で流行してますね。

今までに22人確認されたようです。(その後どんどん増えて50人を越えています9月5日追記)重症な患者さんは出てないようでよかったです。
これでもし運悪く、死亡例などが出てしまうとパニックになりそうですから。

デング熱の死亡率は1%以下といわれています。(WHO) 
この中には2回以上デング熱にかかっている人たちも含まれており、実際日本人や外国人が初回にかかって死亡する率ははるかに少ないものと推定されています。  当院でも年間70-100名くらいの患者さんが来院されますが、死亡例はありません。


今年も雨季も半ばをすぎて、毎年デング熱が増える時期になってきました。

新聞報道でもデング熱が増えていますよという記事をいくつか目にします。

Vietnam news(リンク)  VietJo

これは毎年この時期に患者数が増えるということを示しており、どちらかというと今年もデング熱に気をつけましょうという意味合いが強いです。


実際には今年は今のところ例年より40-50%ほどデング熱の患者数は少ないようです。
8月22日の上記VietnamNewsの記事の跡に8月27日はDengue fever falls from last year という記事が出ています。
またWHOの報告でも今年は少ないようで、カンボジアやフィリピンも例年よりだいぶ少ないようです。  WHOページ8月12日Update





  ベトナムの患者数のグラフがなかったのでカンボジアのものですが、赤色の今年の患者数はだいぶ少ないのがわかります。



当院でも毎年この時期は誰かしらデング熱の患者さんが入院していることが多いのですが、今年はまばらです。

少ないに越したことはないですが、ホーチミンではまだまだ患者さんが増えているようなので、とにかく蚊には刺されないように注意しましょう。

2014年6月10日火曜日

ベトナム麻疹(はしか)その後 2014

1月以来ブログの更新が滞っていましたが、その間3月4月とベトナムでは麻疹の猛威が続いていました。

5月の末になってやっと流行の収束傾向が見えてきましたが、まだ完全に抑えこめたわけではなさそうです。


5月29日のNational institute of hygiene and epidemiology (ベトナムの公衆衛生機関)の発表によると (リンク

2014年に4857人が麻疹に感染
そのうち76%が10歳以下の小児

142人が麻疹が原因で亡くなったようです。




この数字が正しければ麻疹にかかった人のの2.9%が死亡したことになります。
日本では麻疹の致死率は0.1-0.2%といわれています。
この違いはおそらくそもそもの感染の報告人数がきちんと報告されていないこともあると思います。それから麻疹は空気感染する病気ですが、ベトナムではご存知のように病室が隔離されていません。2,3人でベッドをシェアするのがあたりまえの状況で、もともと他の重い病気をもっている子供に麻疹が感染し重症化してなくなるケースも多かったと聞きます。


麻疹はきちんと予防接種をしていれば防げる病気です。その証拠というか、きちんと予防接種を打っている駐在員の間では麻疹の流行は見られませんでした。

当院のホーチミンクリニックでは在住者の方での麻疹の感染を起こした方は1人もいませんでした。(旅行者でのケースはあります。)
ハノイクリニックでも麻疹感染を確認した外国人のケースはないようです。

予防接種の重要性を実感します。


需要の増加で、ワクチンも品薄状況が続いていましたやっと落ち着いてきた様子です。

2014年1月18日土曜日

麻疹(はしか)の流行 ベトナム  Measles outbreak in VIetnam






 2014年1月現在。 麻疹(はしか)がベトナムで流行しています。




以前は毎年のように流行が見られていたはしかですが、ここ3年ほど流行が抑えられていました。ただ今月に入って再流行が見られているようです。

Vietnam breaking news

ホーチミンの第一小児病院では毎日5,6人の子供が麻疹で新たに入院しています。外来では毎日10-20人以上の子供が麻疹と診断されているようです。ほかの熱帯病病院や、第2子供病院でも同じような状況です。ほとんどが予防接種を打っていない子供です。


当院では、日本人、欧米人患者が多く、皆さん予防接種をうっているためにお子さんの患者さんはまだいません。(旅行者では以前予防接種を受けてない家族が3人の子供全員が麻疹にかかって受診されたことがあります。)
大人では予防接種の効果が弱まってきり、2回接種を受けてない人が感染しています。




ちなみに日本では昨年1年間で日本全土で220人ほどの感染を確認しただけのようです。

ヨーロッパでは昨年大きな流行があり。  WHO統計

イギリス2200人  (例年の10倍の感染数)
オランダで2100人
ドイツで1700人
イタリアで3400人

トルコやグルジアなどでは5000人規模の感染があったようです。

2008年に日本で大流行が見られた際は年間に11000人が感染しました。  (感染研)



麻疹ウイルスはは非常に感染力のつよいウイルスです。飛行機には搭乗できないですし。もし登場していたことがわかればほかの乗客全員が感染していないかなど、チェックされ多大な迷惑をかけます。

2007年に日本の修学旅行の高校生が麻疹を発症し、日本へ帰国できなかったことは有名です。l
(記事まとめリンク)

最近でもニュージーランドで麻疹に感染した乗客がいたとのことで、ほかの乗客の追跡がされているようです。  Global post



麻疹の定期接種は1歳時ですから、1歳未満の子供は予防ができないので危険です。

麻疹は肺炎や脳炎などを引き起こしますし、死亡することもあります。

予防接種を2回 きっちりうっておくことが大事です。




 

2013年10月3日木曜日

流行性結膜炎の大流行 In ベトナム。 Pinkeye epidemic in Vietnam


今年の9月に入ってから猛烈な勢いで流行性結膜炎がベトナム国内で流行っています。

結膜炎ですが、正確には流行性角結膜炎 、はやり目ともいいます。
英語ではPinkeyeとかRedeye、正式にはconjunctivitis(epidemic keratoconjuctivitis)、ベトナム語ではbệnh đau mắt もしくはviêm kết mạc と言います。 viêmは炎症、kết mạcは結膜なので語源は一緒ですね。


この結膜炎の流行ですが実は毎年ベトナムであります。 新聞記事を見ていると、ベトナム南部もしくは北部で結膜炎が流行という記事を見かけるのですが、実際に患者さんとして見ることはそれほど多くありません。

しかし、今年は日本人、欧米人を問わず本当に大流行しています。 日本人学校、日系幼稚園、インターナショナルスクール等、ほぼすべてのところで見られています。






 その理由は今回の結膜炎の原因のウイルスが感染力が強いためだと思われます。症状もかなり強いです。日本ではこの原因となるアデノウイルスを検出する簡易のテストがあるのですが、こちらでは使用できないので確認できませんが、症状からはアデノウイルスによるものと考えられます。

症状
 流行性角結膜炎の症状としてはまず急に目やにが増えるようになります(↑右の写真)
その後眼球結膜(黒目の周りの白いところ)だけではなく、眼瞼結膜(まぶたの裏側の部分)がかなり赤くなり腫れます。(↑の左の写真のように) 、 酷い場合は瞼そのものも赤くなって腫れあがります。片目から始まることが多いですが、両目に広がることも多いです。
また眼だけではなく、風邪症状を一緒に伴ったり、耳周囲のリンパ節が腫れたりもします。

感染経路
感染は接触感染ですが、(一緒にいるだけではうつりません:空気感染はしません) 
患者の眼→患者の手→患者が触った物→他の人の手→他の人の眼 と広がっていきます。
共用のタオルや手ぬぐいなどは格好の感染源となります。 

ですので予防は、目を触らない、感染してる人はいろんなものに触らない、こまめな手洗いは必須です。
基本感染したひとは人が多く集まる場所へ行かない 。

治療法
ウイルスを殺す薬はないので 、基本的には対症療法になります。またウイルス性の結膜炎に引き続いて2次性の細菌感染を起こすことも多いため、抗菌薬の点眼を使用します。
また炎症を抑える点眼薬や、症状の強い場合にはステロイドの点眼を使用したりもします。

流行性角結膜炎は症状の強い人では1週間以上続きますし、視力に影響を及ぼすこともあります。その際はきちんと眼科で見てもらうことが必要です。



ちなみに今回私も初めて結膜炎をもらってしまいました。
患者さんからではなく、 娘が学校でもらって来て、そこから家族全員に広まるのはあっという間でした。


 








 

2013年8月27日火曜日

ベトナムの割りばし事件




Than nien newsリンク)より

8月2日のThan nien ニュースの記事によると。

ホーチミンに住む19歳の男性が飲みに出かけて、そこで友人と喧嘩になり友人にプラスチックの箸で目を突かれたようです。

翌日近所の病院で目がはれていたため処置をされましたが、そのまま退院となったようです。
その後目の痛みと頭痛が続くために3日後にChoray病院を受診し、レントゲンで箸が目の奥に刺さっているのが発見されました。
以下がその際にとったMRIみたいです。(こういう写真が新聞に載ってしまうところがベトナムってすごいなあ。)


                                確かに目の後ろに直線状の黒い影が脳まで達しています。

どうやら目の奥の視神経の通る穴を貫通して10cmもある(!?)箸が脳まで達していたようです。
その後記事によると翌週の水曜日(受診の6日後)に手術をしたようです。
(すぐに手術しなかったことに驚き)


この記事を見ると日本で起きた割りばし事件を思い出します。残念ながらその男の子は24時間以内に亡くなってしまいましいましたが、この男性は運よく箸が脳に刺さっても9日間も命には別状がなかったようです。きっと一歩違えば即死でもありうるでしょう。

箸は気を付けなければいけない道具ですね。
特に子供がはしや棒を口にくわえて走るのは注意が必要です。

 



2013年7月9日火曜日

 風疹  帰国前にワクチンを

日本では風疹の大変な流行が続いています。

ベトナムでも時々流行はあるものの(2011年)、ここ最近は見られていません。


と思っていたら、日本からの旅行者の方がベトナムへ来て風疹を発症してしまいました。帰国しようとしたら空港で止められ、空港勤務の医者に発疹が全身に出ているのを確認されて搭乗不可となりました。

風疹は感染力が強い病気なので、飛行機には乗せてもらえません。
麻疹(はしか)、インフルエンザ、なども同様です。

 結局その旅行者の方は熱がひいて発疹がおさまるまで帰国できませんでした。 日本での仕事もあるでしょうに、大変です。


日本に帰国予定の方は。帰国前にワクチンを打つことをお勧めします。
予防の効果が出るまでに2週間ほどかかると言われていますので、帰国の2週間前には打つほうが良いでしょう。


当院ではMMRワクチン(麻疹、風疹、おたふくかぜ混合)を扱っています。
日本では風疹のワクチンの在庫がなくなってきているという話ですので、こちらで打っていくほうが賢明でしょう。  しかも日本で打つより安いです。






2013年5月13日月曜日

ベトナム南部でも鳥インフルエンザ(H5N1)


4月に入ってもう1例 鳥(H5N1)インフルエンザが発生してます。(中国で流行っているH7N9とは別です。)
場所はロンアン省。20歳の女性で、鳥の死骸をふれたりしたようです。
CIDRAP(リンク


中国ではH7N9は今月に入って新たな発症患者数の報告は減ってきているようです。
4月は87例の感染確認。7例の死亡。
5月は9日の時点で、まだ2例確認されているのみです。

WHO(Weekly report 5/9)

このままH7N9が終息していってくれることを願います。


H5N1(今まであった方)も注意が必要です。